床の間 ~季節を感じ客人をもてなす場所~

最近、新築でも床の間を作る事が少なくなりました

自宅で冠婚葬祭を行わなくなった事や、核家族化で建築面積が減少した事で、ある意味デッドスペースである床の間は近年の住宅事情ではそぐわない存在になりがちです

床の間は部屋の一面を使ってしまうので、家具が制限されたり、収納スペースが減ったりと私自身、新たに床の間を造りましょうと薦める事はほぼありません

日当たりの良い所にリビングや日中よく過ごす部屋を設置して生活した方が快適かつ健康的ですし、、、そういった間取りですと、せっかく床の間を作ってお客様を通しても、暗くて寒い部屋になってしまう事もあります

リフォームでも一番日当たりの良い部屋が床の間になっていたらリビングにしたり、二階の床の間が物置になっている場合はいっそ収納に作り替えたりする事例が多いですね

しかし、床の間がある家は生活する中で精神的にメリハリが出ます。又、訪ねたお宅で床の間を背に通されると丁重に扱って頂いているようで気持ちが良いものです

間取りに余裕がある場合や、来客の多い家、格式の高い空間が欲しい方は家造りの際、計画してみるのも一考かと思います

床の間を造るには幾つかルールやタブーがありますが、数寄屋建築を見て取れるように、デザインの自由度はかなり高いです

「和室、客間の無い住宅」や「洋室」でも大きめの絵を飾ったり、アクセントウォールや飾り棚、シンボル的な柱を取り入れる事で、省スペースで季節感や上座的な場所のある空間を演出できます

若輩ながら各お客様に合った形で、日本の伝統ある生活スタイルや、もてなしの心を住宅を通じて守り、伝える事に一役担いたいと思いながらご提案させていただきます

                  糸乗


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